今回はガラスの種類について考えます。
1.普通ガラス
正式にはフロート板ガラスといいます。透明な単板ガラスです。
断熱性を表す熱貫流率は6.0W/(㎡・K)で最低値です。
2.型板ガラス
表面に凹凸のついたガラスです。トイレなど光を入れつつ、
見通せないようにしたい箇所に使います。熱貫流率は6.0W/(㎡・K)
3.強化ガラス
普通ガラスの4倍ほどの強度があり、割れたときに粉々になるので、
破片で手が切れたりせず、安全です。足が当たるような低い箇所や
ガラステーブル等に使います。熱貫流率は6.0W/(㎡・K)
4.合わせガラス
2枚のガラスを接着剤でくっつけたガラスです。強化ガラスと違い、
割れてもひびが入るだけで形状が保たれるので、防犯性に優れます。
熱貫流率は単板ガラスとほぼ変わらず5.7W/(㎡・K)です。
ガラスの厚みを増しても断熱性は向上しません。
5.複層ガラス(ペアガラス)
普通ガラス+空気層+普通ガラスの断熱性に優れたガラスです。
空気層の厚みで断熱性が変わり、2cm程度までは比例します。
普通3mm+空気6mm+普通3mmで熱貫流率3.4W/(㎡・K)
普通3mm+空気12mm+普通3mmで熱貫流率2.9W/(㎡・K)です。
6.Low-E複層ガラス
普通ガラス+空気層+※Low-Eガラスのさらに高断熱ガラスです。
※低放射ガラスともいい、ガラス表面に透明な金属膜がコーティング
され、日射を遮ることができるガラスです。
価格は普通ガラスの1.4倍程度です。
これには遮熱タイプと断熱タイプがあり、
室外側からLow-E+空気層+普通を配置したものを遮熱タイプ
室外側から普通+空気層+Low-Eを配置したものを断熱タイプ
と呼びます。
熱貫流率は遮熱タイプが2.5W/(㎡・K)、断熱タイプが1.9W/(㎡・K)です。
しかし、日射熱の削減率が断熱タイプ50%に対して、遮熱タイプは70%なので、
場所によって使い分けることが大事です。
具体的には日射が当たる東西南面は遮熱タイプ、北面は断熱タイプとするのが
いいでしょう。もし、南面でも軒や庇が出ていて、夏に日射が窓に当たらなければ、
南北面を断熱タイプにするといいでしょう。
7.空気層
ペアガラスの間に挟まれている空気層ですが、実は空気以外にもガスを
封入する技術が確立されています。
空気<真空<アルゴンガス<クリプトンガスの順に断熱性が向上します。
しかし、費用の割に断熱性が向上せず、経年でガスが抜けていくリスクも
あるので、個人的にはおすすめしません。
8.トリプルガラス
Low-Eガラス+空気層+普通ガラス+空気層+Low-Eガラスの3重ガラスです。
熱貫流率も1.0W/(㎡・K)以下と、世界最高クラスです。
製品名でいうと、LIXILのサーモスX、エルスターX、YkkapのAPW430です。
番外編.5重ガラス
製品名でいうと、LIXILのレガリスです。熱貫流率0.55W/(㎡・K)という断熱材入りの
壁と変わらない圧巻の性能です。完全受注生産品で、どうやら普及目的ではなく、
LIXILの技術力の高さをアピールするための製品のようです。一度はお目にかかりたい…
長くなりましたが、これらにサッシを組み合わせることで、「窓」となります。
アルミ、アルミ樹脂複合、樹脂、木製のサッシのうち、どれを組み合わせるかは
お互いの熱貫流率が近づくようバランスを見て選ぶのがいいでしょう。
(と言っても、普及製品としてはアルミ樹脂複合か樹脂がほとんどです。)