天井用に圧をかけない吹込み系断熱材(ロックウール、グラスウール、セルロースファイバー)の沈降量を調べた論文を見つけました。これは興味ある人が多いのではないでしょうか。
地方独立行政法人北海道立総合研究機構
建築研究本部建築性能試験センターが各メーカーと共同で研究したようです。
↓概要版です。
https://www.hro.or.jp/list/building/pdf/R01gaiyo/R1_poster12.pdf
概要としてはロックウール(RW)、グラスウール(GW)、
セルロースファイバー(CF)の3種類の断熱材について、以下の3種類の
試験を行い、結果がまとめられていました。
・長期沈降試験(1,000日=約3年)
・高温高湿試験(75℃湿度80%)
・振動試験
それでは結果です。
・長期沈降試験(1,000日=約3年)
約3年間なにもせず放置しておいた場合の沈降具合です。
ロックウール、グラスウールともに沈降量は1%程度なので
ほぼ沈降しないと言っていいでしょう。
一方、セルロースファイバーは最初の3週間で7%沈降し、
1,000日後には10%沈降しています。
ちなみに波を打っているのは高湿の夏は吸湿して重くなり、低湿の冬は放湿して軽くなるためだと思われます。
・高温高湿試験(75℃湿度80%)
左のグラフです。
ロックウール、グラスウールともに沈降量は1%程度なので
ほぼ沈降しないと言っていいでしょう。
一方、セルロースファイバーは1ヶ月で11%程度沈降しています。
ちなみに50℃80%だと沈降量は8%程度です。
セルロースファイバーは調湿効果があるという証明にもなっています。
・振動試験
右のグラフです。振動装置をつけた箱の中での試験結果です。
ロックウールの沈降量は1%程度なのでほぼ沈降しないと言っていいでしょう。
グラスウールは3%程度なので、少し沈降はあるかなという感じです。
そしてセルロースファイバーは10%程度沈降しています。
◆まとめ
沈降量の少なさという観点で言えば優秀なのはロックウールで、
次いでグラスウールです。
セルロースファイバーは日数経過、高温高湿、振動のいずれにも弱く、
約10%の沈降が生じることが分かりました。
対策としては設計値より10%厚く吹き込むか施工の3週間後以降に再度吹き込むことが望ましいと思います。