パッシブデザインを推すハウスメーカーの謳い文句として
「軒を大きく出して夏の日差しを遮ります」
というのがよくあります
夏における取得熱の大部分は日射熱に依るものなので
日差しを遮るのが一番効果的であるのは間違いありません
しかし、広告のイメージ図にある軒の出幅のほとんどが
太陽高度が最も高い夏至時(6月20頃)を基準に書かれています
最も暑くなる7月下旬~8月下旬の日差しを遮りたいのに
夏至を基準にするのはおかしな話です
そこで夏至時と最後の真夏日の太陽高度で
軒の出幅はいくつ必要なのかシミュレーションしてみました
条件
地域:福井県某市
夏至の太陽高度:77°
最後の真夏日:9月10日(2020年)
その日の太陽高度:58°
※太陽高度=南中高度としています
1.軒の出幅60cm
夏至時は普通の窓なら大丈夫ですが
足元まであるテラス窓では日差しが入ってきます
真夏日では日差しが入ってきてしまいます
2.軒の出幅100cm
夏至時は完全に日射遮蔽できます
真夏日では日差しが入ってきてしまいます
3.軒の出幅120cm
夏至時は完全に日射遮蔽できます
真夏日では日差しが入ってきてしまいます
4.軒の出幅150cm
夏至時は完全に日射遮蔽できます
真夏日では普通の窓なら大丈夫ですが
足元まであるテラス窓では日差しが入ってきます
◆まとめ
真夏日の間、日差しを遮ろうとすると軒の出幅が
最低でも150cm必要であることが分かりました
しかし、現実的に150cmもの軒を出すには
外部に柱を出して支える必要があるし、
敷地やコストも食われてしまいます
やはり素直にすだれやシェードを掛ける方が
効率が良さそうです
★おまけ.小庇(LIXIL製、出幅35cm)