住宅の断熱性能を表すUA値は
建物全体の熱損失(※1)÷外皮面積(※2)で表されます。
※1:床(基礎)+外壁+天井(屋根)+窓からの熱損失の合計
※2:床(基礎)+外壁+天井(屋根)+窓の面積の合計
今回はこのUA値が建物の形状によって、どのくらい変化があるのかを
シミュレーションしてみました。
◆断熱仕様
床:高性能グラスウール 105mm
壁:高性能グラスウール 105mm
天井:高性能グラスウール吹込み 200mm
窓:外壁の15% アルミ樹脂Low-E複層ガラス
◆計算モデル(延べ床40坪)
1.正方形(総2階)
2.正方形(下家あり)
3.長方形(総2階)
4.長方形(下家あり)
5.L形(総2階)
6.L形(下家あり)
◆計算結果(UA値)
1.正方形(総2階) 0.513(基準値)
2.正方形(下家あり) 0.491(▲4.3%)
3.長方形(総2階) 0.523( +1.9%)
4.長方形(下家あり) 0.503(▲1.9%)
5.L形(総2階) 0.532( +3.7%)
6.L形(下家あり) 0.511(▲0.4%)
UA値としては正方形(下家あり)が一番性能が良く、
L形(総2階)が一番悪くなりましたが、比率的には
それほど差はありませんでした。
しかし、これはUA値=外皮面積当たりの熱損失であるため、
外皮面積が大きくなるほど見かけ上は良く見えてしまうためだと
思われます。
実際の冷暖房費に影響する建物全体の熱損失では以下のようになります。
◆計算結果(建物全体の熱損失)
1.正方形(総2階) 161(基準値)
2.正方形(下家あり) 168(+4.3%)
3.長方形(総2階) 172(+6.8%)
4.長方形(下家あり) 180(+11.8%)
5.L形(総2階) 184(+14.3%)
6.L形(下家あり) 192(+19.3%)
建物全体の熱損失では正方形(総2階)に比べて
L形(下家あり)では19.3%も増加することになりました。
これは全館空調の場合は冷暖房費がそのまま+19.3%増しに
なることを意味します。
さらにL形(下家あり)はUA値では優秀だったにも関わらず、
建物全体の熱損失では最下位というUA値のマジックにかかっています。
同じ40坪の住宅でも形状によっては2割近く冷暖房費が変わることが
ありますので、できるだけシンプルな形状に近づけることが
省エネへの近道となります。